揺れるワイン

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二人は働く科も違ったし、理子が中山の誘いを断り続けていたので、接点もなければこんなに関わる機会もなかった。今日初めてお互いのコトを知っていく。 「もっと早くこうやって話したかったな。」 中山が呟く。 理子は医者に遊び人が多いことも知っているし、だいたい二人の出会いは中山のナンパであるので、中山の言葉を鵜呑みにすることはなかった。 「そうですね。」 この駆け引きのような会話を楽しんでいた。 「本当に思ってるか?」 「…実は思ってないです」 中山が笑う。
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