手にとるグラス

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中山いきつけのお洒落なバーに行くことになった。可愛いインテリアと豪華なシャンデリア、薄明かりで雰囲気のよい店だ。二人は二階席に案内された。中山は理子にメニューを向けて見ながら、全て中山がオーダーした。理子はご機嫌でメニューの文字など目に入っていなかった。中山の視線に気づき、理子は言った。 「何そんなにじろじろ見てるんですか」 中山も笑顔でご機嫌な様子だった。 「相変わらず派手だねぇ」 「私、派手ですか?ふつうですよ」 一人で出歩いていた理子が、お洒落をしているはずはない。だいたい中山が理子に声をかけて知り合ったのだから、中山にとっては理子はタイプなのだろう。しかし、今日はたまたま、偶然に、二人で食事をすることになっただけだ。
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