初恋の思い出

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 次の日の朝、朝礼で担任の先生から僕に、もうパンとプリントは届けに行かなくてもいいと言われた。 そしてクラス全員にAさんが入院した事を告げ、皆でお見舞いの千羽鶴と寄せ書きを作ろうという事になった。  折り紙など作った事もない僕は、横で僕に鶴の折り方を一生懸命教えてくれる女子を無視して、窓の外を眺めていた。 まるで図画工作の時間のように、皆が楽しそうに折り鶴を作ったり寄せ書きを書いているのが、どうしても許せなくて、仲間に入る事が出来なかった。  学校からの帰り道、Aさんの家の前を通る。 パンとプリントを届ける名目がなくなった僕は、そのままAさんの家を通り過ぎた。 そして本当に無意識だったと思う。 僕は自分の家も通り過ぎて、更に歩き続けた。
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