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月日は経ち、僕は幼児から少年になっていった。
学校からの帰り道、いつも一つの石コロを蹴りながら歩いた。
偶然だろうか…、石コロはよく、Aさんの家の庭に転がり込み、そのまま見失った。
そして手入れされる事なく荒れ果てたその庭で、新しい手頃な石コロを探した。
Aさんの家の庭から蹴り始めた石コロは、僕の家に着くまで見失わなかった。
というより、見失ってはいけない気がした。
田んぼや溝に落ちてしまっても、見付かるまで探しだし、また蹴って歩いた。
その当時は、なんの変哲もないその遊びが、何故かとても楽しくて仕方がなかった。
『いつか元気になったら、外で一緒に遊ぼう』
もし、死後の世界とか魂が存在するならば、その時もしかしたら、Aさんが僕の横にいて、一緒に遊んでくれていたのかもしれない。
あの、綺麗な笑顔を浮かべて…。
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