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突如聞こえたおかしな声に、幸村は必死に瞑っていた目を開き佐助の方へと視線をやる。
そこには、自分の上で必死に笑いを耐える佐助の姿で…。
状況の理解が出来ず、幸村はぽかんと、その光景を呆然と見つめていた。
そんな幸村を尻目に、佐助は我慢の限界とばかりに笑い出す。
「…さ、さすけ‥?」
幸村が声をかけても、一向に笑い声が止む気配はなく、それどころか更に酷くなっている様に思える。
「く…、ははっ、だんな‥っ最高…ぷっ、ははははっ!」
目の前で笑い転げている佐助の姿に幸村は、自分は佐助にからかわれたのだと自覚し、恥ずかしさのあまり憤慨した。
「っ……佐助ッ!いつまで笑っておるつもりだ‥っ///!!」
キッと睨み付けても、佐助は平然として…
「…はは、ごめんごめん、そう怒るなよ旦那」
そんな顔で睨まれても怖かないけどね。
などと全く応えていない様子で…
そんな佐助に、更に口を開きかけた幸村だが、それは佐助の指によって阻まれた。
「ま、旦那も悪いんだからお互い様って事で、これ以上言いっこなし!」
「何故そうなる!た、確かに約束を破った拙者も悪いが、それとこれは話が別で…「さーて、お茶でも入れてきますかね」
幸村の言葉を遮る様に、佐助はその場を悠然と立ち去って行た。
「さ、佐助のぶゎかぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
一人残された幸村の叫びがしばらく上田城中に響き渡っていたとか、いないとか。
ま、たまには分からせてあげないと、俺は旦那の母親じゃなくて
恋人だってさ……。
―End―
誰にだって油断は禁物。
油断大敵だよ?
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