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真田幸村に二言は無いんでしょ?…と、いつもとは違う満面の笑みで言われれば、幸村は反論も出来なかった。
「さ、さすけ…~っ」
「泣いても駄目だよ旦那、絶対に飲んで貰うから」
そう言った佐助の目は、全く笑っていなく、こうなった時の佐助の意志を変える事など、幸村には到底無理で…。
意を決し、震える手で薬の入った器を手に取る幸村だが……
「や、やっぱり嫌でござる…っ!」
こんなの飲めぬ!と、幸村は佐助に薬を押し付けて、また深々と布団の中に潜り込む。
「旦那、我が儘言わない!ちゃんと飲みな」
「い、いやだ!絶対に飲まぬッ!!」
「………………そう」
佐助そう呟いた瞬間。
急に視界が反転した幸村は、驚きのあまりしばし呆然としていた。
「っ‥さ、すけ……何をっ!」
今まさに自分は、佐助に組み敷かれているのだと理解した幸村は、その腕から抜け出そうと抵抗を試みるが……
「無駄だよ、旦那」
分かるだろ?
確かに、幸村よりも力も体格も上の佐助にかなう訳が無い。
しかも幸村は熱が在るうえ、上から押し付けられているのだ、こんな不利な体勢では抜け出すどころか抵抗すらままならない。
性急に塞がれる唇に幸村はぐもった声をあげた。
隙を突かれたせいもあるが、薄く開かれた唇に佐助の舌がすっと侵入し、口を割り広がされる。
「Σん!?…ッふぅ!!」
開いた口内に舌と共に流れ込む苦い液体に、幸村は眉をしかめる。
薬だ……。
そう気付いた幸村は、力の入らぬ手で佐助の胸を叩くが、佐助は素知らぬふりをして口づけを続けた。
ゴク…―ッ
喉が鳴り、幸村が薬を全て飲み込んだ事を確認すると、佐助はゆっくりと唇を放した。
「っ…は、……はぁ」
幸村は息も絶え絶えに、ぐったりと布団に身を沈め、涙で霞む視線で佐助を睨み付ける。
「そう睨みなさんなって、それにちゃんと飲めたじゃない、薬」
ね。と、耳元で囁かれ、幸村は気恥ずかしさにぎゅっと目を瞑った。
次はどうなるのだろうかと、言い知れぬ不安に泣きたくなる。
そんな幸村の考えを見透かすかの様に、ゆっくりと佐助の指が首筋から顎にかけて移動していく。
「……っ」
びくっと、指の動きに反応して幸村が身体を竦めるが………
「Σ……ぷっ、くく…、く…っ」
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