序章 The ash

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序章 The ash

――――――例えば、客観的に見て完全なシステムでも、案外それは奇跡に近い確率で成り立ってるのかもしれない。  奇跡じゃない部分は全部普通。  そう、普通に『有り得ない』んだ。  だから、セカイは奇跡の一本筋から、徐々に綻びを見せ、亀裂を走らせ、そして、壊れる。  ボクは、そんなセカイから外れてしまったゴミクズ。  ヒトによってはそれは『天使』だとか『異世界の人間』だとかいう。  後者が正解に近い。でも正解じゃない。  ボクが居たセカイは消えてしまったのだから。  だから『何処のヒトでもない』が正解。  ボクは帰る家の無い迷子。  だからボクは『奇跡』が掘り続ける穴と、出来た亀裂を渡る事が出来る。  色々見て来たけど、やっぱり、セカイはこんなにも……脆い。
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