第1章

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天気が良く、絶好の練習日。 火原は片手でトランペットケースを持ち、屋上に向かう。 「ガチャッ」 陽射しが入り、一瞬視界が遮る。 奥に先客が居た様だ。 「・・・?!火原先輩。」 昼食を食べている最中の土浦だった。 「あ。土浦!!何、ここでご飯食べてんの?」 火原はご機嫌な表情で土浦に近付く。 「はぁ、まぁ。教室で食べると女子が寄って来て鬱陶しいんで。」 ちょっと眉間に皺を寄せ、教室から屋上に移動した様だ。 「へー。(チクッ)」 何か小さな痛みが火原の胸に刺さる。 (俺・・・今、女子に嫉妬した?・・・ま、まさか・・・ね) 土浦はこれ以上言いたくないみたいで話を替えてきた。 「火原先輩こそ此処で練習ですか?」 土浦は火原のトランペットケースが視線に入ったのでその質問をした。 火原は、 「う、うん。今日は天気がいいし、あったかいし。もう、これは吹くっきゃないと思ってさ。」 先程の痛みを忘れる様に明るく振る舞う。
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