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藤原家の庭を借り暫く休憩をとり、再びナップサックを背負い車に戻る。 急な斜面を下りだした時、ポツポツと雨が降り出した。 見上げると薄い雨雲が空を覆っていた。 「今のうちにポンチョを着とけよ」 娘のナップサックからポンチョを出して娘に渡して、俺も自分のポンチョをナップサックから出すと頭からかぶった。 暫く進んだ所で雨足が強くなってきた。 横に見えている京丸川の水かさが増えているのが解る。 まずいな…… いったん藤原家まで引き返そうとも考えたが、この雨の中急な斜面を上るのは少々危険な気がした。 そう考えている内に雨足はますます酷くなる。 俺は林道の脇に、適当な空き地を見つけ、ポンチョを脱いだ。 「お父さん、何してるの!?」 「悪いがお前のポンチョを脱いで俺に貸してくれ」 ポンチョの形は大きな正方形で、真ん中から頭を出すためにフード付きの穴が開いている。 ペグを使えば一枚で一人用の簡易テントにもなる。 娘からポンチョを受け取り自分のポンチョと繋げると、杉の木を利用して大きめの簡易テントを作った。 地面にはレジャーシートを敷き、娘をテントの中にいれる 「身体を拭いて待っててくれ」 いったん簡易テントの外に出て回りに排水用の溝を深めに掘った。 「お疲れ様、はい、これで暖まってね」 溝を掘り終わりテントに入ると、ずぶ濡れの俺に娘がタオルとコーヒーを用意してくれていた。 「ありがとな」 「ねえ… あと何時間くらい降るかな?」 「そうだな…… 一時間で止むって事はなさそうだが夜遅くまで降るって事も無いだろう…… だけど後3時間位で日没だろ…… ここで一泊ってのも考えておこう」 「えっ?ココで一泊? … 雨早く止まないかな~」 娘は暫くテントの外を見て不安そうにしていたが、朝早かったせいか、横になり眠ってしまった。
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