恋人達の鎮魂歌（Requiem）

京丸へ

砂利道を15分程進むと、林道はＹ字路になっていて、そのどちらもゲートで道が塞がれていた。
鈴本商店のお婆さんに聞いた話しでは、営林所の許可が無ければ、この先車での通行は出来ないらしい。
俺は車の後部座席のドアをスライドさせると、ナップサックを取り出した。

「暫く歩くぞ、行けるか？」

「うん、大丈夫」

娘も後部座席から自分のナップサックを取り出しす。
車をロックしてから、２人で右側のゲートの隅を擦り抜け、京丸に向かい歩き出した。