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京丸へと続く山道を2人は黙々と歩く。
相変わらずの砂利道ではあるが、砂利道になれてきたのか、大分娘のペースも上がってきた。
しばらくすると林道が分岐していた。
「お父さん、これ、どっちに行けばいいかな?」
「確か左だ。
この先は急な上り坂になるってHPには書いてあったな」
急な林道をしばらく登り、一段上の台地に出るとそこが京丸の里であった。
「ここが京丸なんだ……」
「ああ、あそこに見える平屋の建物が藤原家だ」
2人はよく手入れされている平屋建の家の庭に入る。
「お父さんあれは……」
!!
娘に言われ、向かえの山を見て俺は絶句した……
「なんて事だ……」
60年に1度しか見られないと言われる京丸牡丹。
その京丸牡丹が咲くと言われている牡丹谷の山肌は、無残に露出していた。
「なんか……
ちょとがっかりだね……」
「ああ……」
「お父さん、どうしようか、このまま帰るのもちょっと勿体ないね」
「そうだな……」
この辺りを散策しようかと思い、ふ、と空を見と、遠くに雨雲が見えた。
車まで約2時間……
多少の雨なら大丈夫だろうが……
「ここで少し休んだら車へ戻ろう。
雨が降りそうだ」
娘は辺りを散策したそうだったが空を見て納得した様だった。
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