炎の籠Ⅰ

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焦げるような匂い。 どこからか聞こえる女の子の声。 俺はその声を求め、炎の中を歩いていた。 【修一】「どこ?どこにいるの?」 燃え上がる物を避けながら、声のする方へと歩いていた。 【修一】「ごほっ、ごほっ。ねぇ、どこにいるの?」 おもちゃ売り場だろうか、人形やラジコン、ゲーム機など全部が燃えている。 どうやらここは、デパートのようだ。 周りを見回すと、いろんな人が倒れていた。 助けを求める声と、炎の燃える音が混ざり合い不気味な音に変質していた。 【?】「ぼぉうぇやぁーーっ!」 【?】「ヒャ負ヒェ手ぇーーー」 俺は途中から耳を押さえながら、走っていた。 なんなんだ、ここは! 怖い、怖い、怖い、怖い怖い、怖い、怖い、怖い怖い、怖い、怖い。 誰か、誰か、ここから出して! そう思いながら走っていると、また聞こえて来る………。 【?】「…修……一…ど…こ……修一」 まただ……また、あの子が呼んでる……。 俺はいつの間にか、また声のする方に歩いていた。
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