二章 大刀の虎 長刀の鷹

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  ダンテ「とりあえず、まずは話をつけよう。俺は今からアンタとドンパチするつもりはねぇってことはまず言っておく」 コジロウ「奇遇ですね?実は私もですよ」 ダンテ「今日はたまたま、偶然的に同じ宿になっちまったがな…お互い戦いを『今は』求めていない。それで、どうだ?今日のとこはとりあえず、休戦ってことにしないか?お互いのタメによ」 コジロウ「良いでしょう。『今は』…ですね」 ダンテ「『今は』な…?」 コジロウ「しかし、アナタとは初めてお逢いしました。初対面の相手をどう信じれば良いですかね?」 ダンテ「そりゃお互い様だ。その長い刀でいつ斬られるか分かったもんじゃねぇ。そこでだ!俺はお前に大事なもんを預ける。お前も俺に大事なもん預けろ」 コジロウ「なるほど、そうすれば互いに攻撃しにくいですね。なら、私はこれを」 コジロウは『佐々木巌流』の紋を渡す。 キスケ「なっ…!?コジロウ殿…本気か…!?」 コジロウ「これば我ら『佐々木』の誇りをも同然です。これが無ければ、私はただの『人』ですからね」 ダンテ「確かに預かろ」 コジロウ「そちらは…?刀でもお預けになりますかな…?」 ダンテ「バカ言っちゃいけねぇよ。そっちも刀預けなきゃこっちも預けねぇよ!」 コジロウ「それでは何を?」 ダンテがゴロウを引っ張る! ダンテ「俺の居候と書いて家族と読むコイツだ」 ゴロウ「…俺かよ!?」 コジロウ「信用しろと?その薄汚い妖精を」 ゴロウ「ヒドい!」 ダンテ「お前にとって、この紋が誇りなら、俺にとっての誇りは『家族』だ!誇りを傷付けられるほど怒ることはねぇ!」 コジロウ「そうですか。承知いたしました」 ゴロウ「いやぁああっ!!」 ダンテ「分かってんな?お前が俺の誇りを傷付けた瞬間、刀を抜くからな!?」 コジロウ「その言葉、まるまるお返しいたしますよ」 コジロウはゴロウを汚そうにつまんで去る。 キスケ「主!?何を血迷ったことを…」 ダンテ「仕方ねぇだろうがよ。ああでもしなきゃマジで斬られるからよ」 サクラ「でもゴロウが…」 ダンテ「流派の人間は嘘はつかない。ましてやサムライのひとりだ。約束は守るだろうよ」 コジロウ(彼の目…。妖精を差し出した時の目…。本気でしたね…。あの目…。まさにサムライのようでしたよ…)  
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