二章 大刀の虎 長刀の鷹

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  ダンテ「ふぅ…食った食った」 ゴロウ「ごちそぉさん」 コジロウ「さてと、ダンテ君どうですか?御一緒に風呂は」 キスケ「お断りいたします!互いに丸腰の状態とはいえ、コジロウ殿が何をなさるか…」 ダンテ「構わんぞ?」 キスケ「なっ…!?主!?何を血迷ったことを…」 ダンテ「同じ釜の飯を食った仲なんだからな。とりあえず『今は』休戦だからな。約束は守るのもサムライの流派のすることだろ?」 コジロウ「よくお分かりですな?そのとうりですよ。いかなる内容だとしても、約束は守るのが流派の伝統。『佐々木巖流』もそれは同じ」 キスケ「し…しかし主…」 ダンテ「お互い様にすっぽんぽんなんだ。刀なんざでドンパチやりえねえから心配すんな」 キスケ「ぬぅ…」 ダンテ「なんなら、男湯入ってコジロウのこと見張ってるか?」 キスケ「けっ…結構ですっ!」 ゴロウ「顔赤いぞ」 キスケ「ゴっ…ゴロウ殿!」 ダンテ「というわけで、今日は仲良く風呂に入ろうぜ?」 風呂場 ダンテ「ふぅ…良い湯だな…」 コジロウ「しけた村でも、宿屋の風呂は立派なものですね」 ゴロウ「嫌味しか言えないのかアンタは…」 コジロウ「事実です」 ゴロウ「左様ですかぃ…」 ダンテ「『佐々木巖流』か…。一時期俺もアンタらの技を会得しようと考えた時期もあったんだぜ?」 コジロウ「ほう…。立派なのは神刀と黒刀だけではなかったというわけですね」 ゴロウ「何が言いたい?」 コジロウ「強きものの力を吸収し会得し己のものにするという考え方がですよ」 ダンテ「あん時は本当にガキだったよな…。流派の恐ろしさをまったく知らなかったからな…」 ゴロウ「流派の恐ろしさ…?」 ダンテ「ひとつの技を作るのに数年、その技を磨くのにさらに数年、完璧に仕立てるまでまたさらに数年と途方もなく時間がかかんだよ」 コジロウ「それをいかに短期間に縮め、数を多く覚えられた者のみ、流派の長となれ、皆から崇められし存在になれるのです」 ゴロウ「てことはアンタもか?」 コジロウ「私も次期長となるやもしれません」  
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