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その間、「それ」は強い空腹感と孤独感を感じ続けていた。
ほんの少しの散歩程度のつもりで飛び出したがために、「それ」には食料の携帯と同行人がなかったのだ。
空腹感と孤独感を感じ始めて、いったいどれくらいのときが流れただろう。
いい加減精神の限界が近くなり、正気さえ失い始めようかというとき、「それ」はかなり近くに食料となる「もの」の気配を感じ取った。
「それ」は死に物狂いで食料となりうる「物」の気配へと近づく。
果たして、それは「それ」が見たことも無い、巨大な星の海を渡る船だった。
その船の中に食料となる「もの」がいる。だが中へ入ろうにも「それ」は入り方が分からなかった。
「それ」の知りうる技術レベルでは、その星を渡る船の入り口となるドアさえ見つけることさえできなかった。
・・・突然、目の前に壁面が大きくスライドし始め、壁面が開かれた。
続いてその開かれた壁面の中から小型の宇宙船が現れた。
「それ」はそのときを内部へ進入の機会ととらえると、力を振り絞って、再びスライドし始めてしまろうとする壁面の内部へ移動し始めた。
そして、「それ」は侵入を果たした。
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