第一章 春

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清の立っている横の家には立派な桜の木があった。 まだ気象庁は開花宣言をしてはいないがそこの桜はほんの少しだけ咲き始めていた。いつもこの時期になると一人娘が生まれた時の事を思い出す。 昭和48年春・・・清26歳。 幸子(さちこ)とお見合い結婚をして2年目に待望の子供を授かったのだ、清は男の子がほしくてしょうがなく名前も「一男」とだけ考えていた。100%男の子が生まれると思い込んでいた清だがすぐに「さくら」と名付ける事ができた。 そう、幸子の病室の窓からは丁度満開の桜が見えていました。
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