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二
俺がそんな事を思い出して居ると、彼女との待ち合わせ場所のベンチが視界に飛び込んで来た。
そして俺はまた彼女の事を思い出した。
彼女と仲良くなって何ヶ月が過ぎただろうか。
楽しさのあまり俺は到頭声に出して言ってしまった。
「好きだ」
ずっと心の底で想っていた感情だったんだけど、つい言ってしまった自分が一番驚いていた。
心の底に閉まっていたのは、彼女がまた申し訳なさそうな顔をするだろうっという判断が出来ていたからだ。
だけど、彼女は思いの外明るい顔をしていた。
そして、俺が想像もしていなかった言葉が返って来た。
「あたしも」
彼女が泣きながら俺を抱き寄せるから俺も泣きそうだったけど…先に泣かれたら泣けねーし。
その後は夢のパラダイスだった。
楽しくて仕方が無かったんだ。
付き合い出した俺達の待ち合わせ場所はホームに上がる階段横のベンチだった。
毎日此処で待って居てくれる彼女を愛おしく想ったんだ。
最寄り駅は違うけれど、一緒に乗って居られる三駅分の乗車時間が俺達の放課後デートだった。
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