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「あ゛あ゛あ゛ああぁぁうぁ」
一歩、また一歩と足を引きずるように、活死体は近付いてくる。
信也は覚悟を決めて、目を瞑った。
駄目だ。優。俺は此処までだ。せめてお前だけでも生き延びてくれ。
暗闇の中で自分に近付いてくる気配を感じとり、信也は来たるべき死の痛みに耐える為に、歯を食いしばる。
ここで自分が断末魔の叫びでもあげようものなら、たちどころに活死体どもが集まってくるからだ。
暗闇の中で信也は何かが頭の横を掠める音を聞いた。背後から拘束する力が弱まり、体の自由が戻る。
なんだ!?
一体何が起こったんだ?
何時まで経っても訪れない激痛。
不審に思った信也はうっすらと目を開けた。
昼間の強い日差しを背に、優の横に寄り添うように立ちはだかる人影が見え、ソイツはゆっくりとこちらに向かって歩いて来た。
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