我が儘

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「お前、今『俺の心音が可愛い』とか思ってんじゃねェよな?」 全くの図星である為、無言になる彼女。 すると、突然彼はこんな事を言い始めた。 「なぁ…ジュン。俺の我が儘なんだが…良いか?」 「何?別に構わないけど」 彼は語り出す。 「お前…自分の事を教えてくれた代わりに俺の事を少しだけ教えてやるよ… 一応、人間ではお前以外には話してない。」 ふと、彼は天井を見上げた。 「俺はな…元々は、人間だったんだ… 生まれた場所は東の果てにある異境の山奥の村でな… そこには、草木も生い茂り、水は清らかに流れていて、動物も沢山生息していた。 村人も皆温厚で優しい人達ばかりで…喧嘩なんてほとんど無いに等しかった。 俺は、そんな村が大好きだった… 毎日、畑を耕したり水やりやら勉強とかは嫌だったけど…充実してた。 こんな平和な毎日がいつまでも続けば良いと願ってた…。 でも、平和な日々はある日突然崩されたんだ… 天界と魔界の奴らのせいでな… 奴ら、ある日突然現れたかと思えば…村人全員を皆殺しにしやがった。 理由は、『此処は、死神達が住んでる土地だ… 其処に住まう者全て死神… よって、抹殺せよ。』 意味分かんねェよ… 只、其処に居ただけなのに… 只、其処で平和に暮らしてたってのに… 其処は死神達が住まう土地だから… 住んでるお前達は死神だって勝手に決めつけて惨殺しやがって… 幸い、俺はその時は村外れの森で茸やら山菜を摘んでたからなんとか免れたんだ… それで早い内に村に戻ってみたら… 村じゅうの至る所に村人全員の無惨な屍が横たわってたんだ… 俺は訳も分からないまま村じゅうを走り回った… 誰か生き残りが居るかどうか確かめる為に… 結局、村はほぼ全滅…生き残りは俺と怪我人(重傷)一人だけ… 怪我人は、俺に事情を説明してくれた… そして、俺にその事を伝えた途端、怪我人は死んだ… 大方、生き残りである俺に伝えたかったんだろうな…。 その後、俺は絶望した… 何も考えず… 何も感じぬまま… 只、死を待っていた。 もう、生きる気力が無かった… みんなの元に行きたかった… そんなある日、一人の仮面の男が現れたんだ。 そいつは、俺に向かって『生きたいか?それとも死にたいのか?』って問掛けたんだ …俺は、「分からない」って答えた。 そしたらそいつイキナリ俺を見てよ 『死にたいならそうしろ… だがな、『悔しい』って思うなら…生きろ。 例え、泥水吸おうが何されようが…生きろ」ってな
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