我が儘

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…この時の台詞がヤケに染みてよ… 俺は、生きようと決意したんだ。 そいつは俺にこうも言ったんだ。 『…復讐目的で生きるのは止めろ… 復讐は復讐を生む… 復讐なんて終わらない旅路だ… そんな生き方より楽しい生き方をしろ… そっちの方がよっぽど気楽で良い』ってな… 俺、感動してな… 思わずそいつと一緒に歩きたいって思ってな… そいつに『俺も一緒に連れてってくれ』って願い出たんだよな。 そしたらそいつなんて言ったと思う?」 彼女は、当然の事ながら「分からない」と答えた。 彼はケラケラ笑いながら 「『あぁ?ンなもん知るか… 自分の道は自分で決めろ。 俺は他人の人生には干渉しない主義だが… 生憎、お前の人生に干渉しちまったし… あの馬鹿の頼みだしな… 仕方ねぇ、面倒みるか… 着いてきな。 テメェに最低最悪なキザってぇ人生歩ませてやるよ。』 って言いやがったんだよ。 後々知ったんだが… ソイツ実は死神でな… あの時、自分の知り合いつっても何でか知らねぇが親父の訃報を聞いたらしくてな… 親父の遺言で『もしも、自分に何かあったら俺の家族を頼む』って言ってたらしくてよ… ソイツにとって俺は一応自分の大切な知り合いの遺族だから否が応でも 世話しなきゃならなかったらしくてよ… それからというもの… ソイツは俺に色々な事を教えてくれた… 自分と親父との成れ染めだとか 死神の本来の在り方だとか、 今までどんな道を歩んで来たのかとかな… 本当、毎日面白かったぜ… ソイツと過ごした日々は…」 と語った。 「で、その死神とは今でも旅を続けてるの?」 彼女が問掛けると彼は言った。 「死んだぜ… いや、消滅したが正しいかな? かなり昔…六十年ほど前に俺をかばって天使兵の野郎にぶち殺された。 …俺がまだ死神として覚醒して日が浅いのを狙ってな…」 彼は語った…その忌まわしき過去を… 「六十年前… 俺とソイツは西の大陸にある『チーノ』っていう小さな村を目指してたんだ… その村はこの世に存在する数少ない死神の居住地でな… ソイツは、そこに新たに覚醒した死神の報告に来てたんだ。」
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