我が儘

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「花粉症ね… なら、泣いても仕方ねぇわな」 そう呟きながら彼は彼女の背中を優しく撫でた… まるで、小さい子供をあやす様に…ゆっくり…ゆっくり撫で下ろしたのだった しばらくすると彼女は泣くのを止めた。 そして、彼に問い掛けた 「ねぇ…貴方は寂しくないの?」 「なんでだ?」 「だって…長い間、ずっと一人っきりだったんでしょ? 寂しく無かったのかなって…」 すると、彼は数秒考えた後に答えた 「確かに…一度も「寂しくない」って思った事は無かったな 大体、『孤独』っつーのは人間を狂わせちまうもんだ… 誰かに必要とされたい思いが募れば募る程その分、辛くなる… まあ、中には大勢の人間の中に居るのに『孤独』を味わう奴もいるけどな…」 そう言った後…彼女を抱き寄せた。 「でもな…お前は違うだろ? お前は一人じゃねぇ… お前の周りには大勢の人間が居るだろ? だから、『寂しい』とか考えるなジュン …お前は一人じゃねぇよ」 そう呟きながら彼は彼女の頭を優しく撫でる。 ふと、彼女が呟いた。 「ありがとう…死神さん。 じゃあ、私の我が儘も聞いてくれる?」 「ああ…いいぜ。なんでも聞いてやるよ」 すると、彼女は一拍置いてから言った。 「じゃあ…もし、私の病気が治ったら… その時は、一緒に笑ってくれる?」 それに対して彼は… 「なんでだ?治ったんならもっと別の事すりゃ良いじゃねぇか 例えば、町を散歩したいとか有るだろ普通?」 と言った。 しかし、彼女の意志は変わらなかった。 「それでも…私は誰かと一緒に笑っていたいの…」 「…仕方ねぇな 分かったよジュン… お前の我が儘、俺がちゃんと聞き届けたぜ。 だから…早く良くなれよ」 「うん♪」
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