懐かしい港町

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「さてと、来たのは良いが…先ずはどこ行きゃ良いんだ? 恥ずかしい話…俺、こんな場所来んの初めてだからな」 相変わらず町の入口辺りで立ち往生していた 見知らぬ土地の風習ってある意味難儀な所があるから難しいよね(by作者) 「本当、初めてなんだね とりあえず、町の中心…ほら、あそこの噴水のとこまで行かない?」 と彼女が指差す方向には大きな噴水公園が… 「よし、一先ずあの公園までひとっ走り行ってみるか!!」 「行き方解るの?初めてなのに?」 「あぁ、大体の方向が解れば後は走るだけだ」 グッグッと軽く準備運動をする彼に対して 「本当に大丈夫なの?」 と心配気味の彼女 「安心しろ…俺の足の速さは弾丸並だからな つーか、ちゃんと捕まっとけよ 万が一、振り落とされても責任取れねぇし」 「えっ?捕まるって…どこに」 「とりあえず、おんぶしてやっから…ほら、さっさと乗りな」 と、おぶる体制の彼に対して半ば恐怖と周りからの羞恥心を感じる彼女は 「やっぱり…私、歩いて」 と言いかけたが彼に止められた 「阿呆。誰が病人一人を街中に放り出して歩かせる馬鹿が居るんだよ… つべこべ言ってねぇで早く乗りやがれ!!」 渋々、彼女は彼に言われるがままに背中におぶって貰うことにした。 「ねぇ…私、重たくない?」 「はぁ?何がだよ? つーか、逆に軽過ぎるっての!! お前、ちゃんと飯食えって…」 なんか、逆の意味でショックを受ける彼女であった 「よし!!んじゃ…しっかり捕まっとけよ!!」 ググッと足に力を入れたかと思えば彼は風の如くその場を走り抜けてしまった。
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