懐かしい港町

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「良い酒場じゃと?」 「まあ、安酒が飲めれば何処でも良いけどな」 すると、爺さんは少し考え込んだ後俺に教えてくれた 「それなら…あそこの雉(キジ)の絵の看板の店か、噴水公園近くの藁葺き屋根の店位かの?」 「ありがとよ爺さん…んじゃ、その雉看板の店にでも行ってみるかね コイツはチップだ。受け取ってくれ」 ピーン!!と、爺さんに金貨を一枚渡した 「おっおぬし!!」 「俺なりの感謝の気持ちだよ…ソイツで少しでも良い酒でも飲みな爺さん」 俺は爺さんが教えてくれた店に直行しようとした瞬間 爺さんは立ち去る俺に向かってこう言った 「言い忘れてはいたが…そこの路地裏に折れた風見鶏が目印の店がある…その店に居る奴にこう言うんじゃ 『朱き月が昇りし時、灼熱の大地が我が身を覆い焦がす』とな まあ、変わりもんのバカタレがやっとる店じゃからあんまり他人にはススメはせんのじゃがな」 「そうかい…ありがとよ爺さん」 そう言うと俺はその店に直行することにした
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