17人が本棚に入れています
本棚に追加
/263ページ
彼女は、いきなり現れた死神の存在に驚きを隠せないでいたが
…勇気を振り絞って問掛けてみる。
「あの…えっと…貴方、天使…さん?」
その問掛けに対して、彼は呆れた風に答えた。
「あのなぁ…どこの世界にこんなボロボロな服着た天使が居るってんだ?」
「じゃあ、貴方は一体?」
と、彼女が問掛けると彼はサラリと答えた。
「俺か?俺は、死神だけど…それがどうした?」
一瞬、場が凍り付く
「えっと…死神さん、なんですよね?」
「あぁ、それがどうした?」
すると、彼女は彼に向かってこんな事を言い出した。
「あっあの…こういう時、私はどうしたら」
「ん?叫べば良いんじゃねぇのか?まぁ、そんな事しようもんなら来た奴等ただじゃおかねぇがな」
と、軽く答えた。
その解答を聞いて彼女は叫ぶのを断念した。
しばらくの間、二人の間に会話はなかった。
ふと、彼女が問掛ける。
「あっあの…貴方は、私を殺しに来たんですか?」
その問掛けに対し、彼は
「はぁ?なんだそりゃ?俺がお前を殺しに来た?んなわけねぇだろ…」と答えた。
その解答に対し彼女は、キョトンとした面持ちで聞き返した。
「えっ、私を殺しに来たんじゃないんですか?」
「何でそう思ったんだ?」
と、彼が頭を掻きながら問掛けると
「だって、死神は人の命を刈り取り人々に災いと不幸を与える存在だって聞いたから…てっきり」
と、彼女は答えた。
すると、彼は溜め息混じりに説明し始めた。
「はぁ~…いいか?確かに俺は死神だがな…俺は頼まれでもしない限りは"悪人"以外は殺さねぇ主義なんだよ。
しかも、お前等が持ってる死神に対する知識…アレ殆ど間違いな。
確かに俺達死神は人々に災いやら不幸を与える存在って言われてるけどよ…
俺達、死神は世界の調律者…
つまり、世界の歪みを正すのが仕事だ。ま、言っても分からねぇよな…
最初のコメントを投稿しよう!