優人 17歳 夏

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後ろから声をかけて来たのは、同じ施設で育った幸太【こうた】だ。              幸太は俺とは同い年だが、赤ちゃんの頃に施設に預けられたから先輩にあたる。              預けられたと言っても、まだ生後一ヶ月と満たない時に手紙と一緒に施設の前に捨てられていた。手紙には、             “どうしても育てる事が出来ません。駄目なママでごめんね。             見付けて下さった方、名前は《幸太》と言います。どうか、どうか宜しくお願いします。” と書かれていたらしい。             幸太も俺と同じく、高校に入学する時に聞いたらしい。             やっぱり自分を見つめる良いきっかけだからだと。             俺が施設に初めて来た日、真っ先に声をかけてきて遊んでくれたのが幸太だった。 それ以来、俺達は時には兄弟の様に、また親友の様に付き合って来た。             幸太は俺の肩に手を回しながら             「なぁ、優人?こんなとこで何してん?どっか行く予定無かったら、ちょっと付き合って欲しいとこあるねん。」             俺はちょっと考えて、             「しゃあないな~、幸太の頼みや。付き合ったるわ!で、何処行くねん?」        幸太はニ~ッて笑いながら 「ナイショ!」             と一言言うと俺の背中を押し急がせた。                                              この後、俺は運命を共にする人と出逢う事になるなんて、この時の俺はまだ知らなかった。
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