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俺たちが戻ると、鈴がムスッと膨れっ面を浮かべていた。
「お兄ちゃん!何処行ってたの!?」
「ごめんごめん。ちょっと、ね」
竜也さんの方に笑いかけると竜也さんも笑い返してきた。こんな光景を目の当たりにして鈴はきょとんとして小首を傾げていた。
「…なぁ、詩織、何処行ったか知らないか?」
「え?詩織さん、ですか?」
そういえば姿が見当たらない。それに龍樹さんも……
「龍樹さんと一緒に何処かにいっちゃいました」
「な、何だって!?」
「あれは絶対デートですね」
「なっ!?」
キャッキャッと楽しげに話す二人の会話を聞いて動揺を隠しきれない竜也さん。次の瞬間、一目散に駆け出していった。が…
「きゃっ!!」
突如現れた詩織さんと衝突してしまった。
「あ、ごめ……詩織…」
「竜也……」
竜也さんと会うなり何だか詩織さんが戸惑ってるように見えるのは気のせいだろうか?
「詩織!あの――」
言いかけたところで詩織さんは背を向けて走り去って行ってしまった。
「そんな…何で?」
「フラレたですね」
ちょっ!苺ちゃん、そんなストレートに!?
「竜也さん、そんなことない…と、思いま――」
「うわあぁぁぁぁぁ!!!!!」
「竜也さん!?」
何かが切れた竜也さんが夕日のバカ野郎的に走って行ってしまい、何だか罪悪感の残る今日この頃。
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