彼女が出来ない理由

2/24
14766人が本棚に入れています
本棚に追加
/257ページ
うだうだと紹介してきましたが、一つ訂正するべきことがあります。それは、俺に彼女がいないということ。それについてですが……まずは話を放課後に移しましょう。 ◇ 今日も何事もなく学校が終わり、俺はせっせと荷物をまとめていた。 早く帰らないと夕食の準備しなくちゃ。また姉さんと鈴(俺の妹)がお腹空かすだろうし。 「ぅお~い、智~」 ぬるりと俺の目の前に現れたのは尾原 巧郎(おはら たくろう)。完全マイペースでよく振り回されます。でも底抜けに明るくてあまり憎めないんだけど……。 人種としてはオタクなのだが、本人は「対有機生命体コ〇タクト用ヒュー〇ノイド・インターフェ〇スだ!」と言って引かない。一体何を言ってるのか今まで理解できた試しがありません。 「ツンデレとヤンデレってどっちの愛が深いと思う?」 ………? また訳の分からないことを言ってる。 「ヤン?ツン?何それ?」 「前者はツンツンデレデレの略だ。後者は愛する余り心を病んでしまったキャラをさす用語だよ。いい加減覚えろ古泉」 「……誰?俺は成瀬川だけど」 「雰囲気的に似てるから。そのうちマッ〇ーレとか言いそうで」 「〇ッガーレ↑?」 そう言ったら何故か巧郎は親指を立てた。 「それよりさ、俺早く帰らないといけないから」 「俺も行く」 「……何処に?」 「お前ん家」 「あ、そう。いいよ」 そして、俺と巧郎は教室を出ていった。 その場にいた他のクラスメイトたちは来ることに否定しないのかよ!と心の中でツッコんだ。 ◇ 下駄箱に行った瞬間に事件は起きた。 俺が下駄箱を見ると、中に白い紙の封筒が。開け口にはピンク色のハート型のシール。 横で見ていた巧郎がひょいとそれを取り上げた。じろじろと封筒を見て、次に僕を恨めしそうに見た。 「……死ねばいいのに…」 封筒を渡して巧郎はさっさと帰ってしまった。 俺の家に来るんじゃなかったのかな?
/257ページ

最初のコメントを投稿しよう!