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「晴明…たまには、花でも見に行かぬか?」
少し緊張した様子で晴明を誘った博雅
断られると思っていたからであろう
考えて見れば晴明とは用がなければ外に出た事などない
それにどこか冷めている晴明だから花になど興味がないかもしれない
しかしそんな博雅の心配をよそに
「…あぁ、良いぞ」
と、晴明は即答した
「よ…良いのか…」
「…自分で誘っておいて、それはないだろう」
拍子抜けした博雅の様子に、晴明は怪訝そうに眉を寄せた
「あ…いや…」
困った様子で弁解しようとする博雅を見て、晴明は言葉を遮る
「どうせ俺が冷たい男だから、花になど興味がない…とでも思っていたのだろう」
そう言うと拗ねたように外方を向いた
図星であったため、博雅は何も言えずに黙ってしまった
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