105人が本棚に入れています
本棚に追加
しとしと雨が降り続く夜
いつものごとく、博雅は晴明の屋敷を訪れていた
来たときは晴れていたのだが、博雅が晴明の屋敷に入ったときに降り出したのだ
殿上人であるが、当然のように歩いて来た博雅
やはり博雅は様々なものに好かれているとか言ってクスクスと笑う晴明に、博雅は良く分からず首を傾げながらも今夜の酒を渡したのだった
酒の肴もないまま、二人は他愛ない会話をしながら飲んでいた
「…なぁ、晴明。俺は思うのだよ」
博雅はコトリと杯を置いて、雨の降る濡れ縁を見つめる
「…なにを思うのだ？」
晴明はチラリと博雅を見て、残った酒を喉に流し込み、同じく杯を置いた
．
最初のコメントを投稿しよう！