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「まるで……晴明のようだ、と思ったのだ」
博雅はジッと濡れ縁を見つめたまま
「………俺、か?」
意外な返答に晴明は首を傾げて博雅を見つめた
博雅はゆっくりと晴明に向き直り、小さく頷いた
「……そう思ったからには、何か理由があるのだろう?何かあったか?」
晴明が尋ねると博雅は重い口を開いた
「今日…宮中で何処の某がお前の噂話をしているのを聞いたのだよ。最初はこれでもかと言うくらい褒めていたのに、最後にはやれ鬼だ、狐の子だ、逆らえば殺されるだのと酷く言っていてな。それを思い出したのだ」
博雅は怒りとも悲しみともとれるような調子で語った
晴明はうんうんと頷きながら博雅の話を聞き、フフッと笑みを零した
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