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安倍晴明邸の濡れ縁には、主人である晴明の他に何者もいなかった
普段なら式の一つや二つ、当たり前のように居るのだが、今日は晴明一人
ぼんやりと庭を眺めている
「博雅……」
自然と口から、自らが心待ちにしている人の名前が零れる
自分でも驚いたのか、ハッとして口元を押さえ、一瞬酷く寂しげな顔をし、またフッと元の表情に戻った
「……はぁ」
そして今度は晴明にしては大きなため息
実はここ10日ほど、博雅は晴明の屋敷へ顔を出していなかった
最近はほぼ毎日、空いても二日くらいで必ず博雅は晴明の屋敷を訪れていた
それなのに……
博雅の事を考えれば考えるほど、晴明の心は酷く乱れてゆくのだった
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