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「晴明…誰の心にも鬼は住んでいるものか…?」
晴明の屋敷で飲んでいた博雅は、ポツリと呟いた
その瞳はどこか悲しげに、濡れ縁からの庭の景色を眺めている
「……あぁ」
博雅は、短く答えた晴明に視線を移す
「…晴明の中にもか」
「あぁ…いるさ」
晴明は杯を置き、博雅を見つめる
「俺とてな…もしも博雅が心変わりでもしたら…」
少し目を細めて笑みを浮かべる晴明に、博雅は視線を逸す事も出来ずにただ言葉を待つ
「鬼になって、博雅を殺めてしまうかもしれんな」
クスッと笑った晴明の表情に本気が含まれているのを悟った博雅は、思わず唾を飲んだ
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