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「晴明は………」
“俺が死んだら泣いてくれるか?”
今度は自分が聞こうと思ったのに、その言葉が何となく紡げなくて、博雅は黙ってしまった
そんな博雅の様子を見て、晴明は口を開いた
「俺も、もし…逆になったら泣くさ。でもな…それは確かに博雅が可哀相だからでもあるんだが…。俺は自分が可哀相で泣くのだよ」
「自分が可哀相…?」
博雅は良く分からない、と言いたそうな顔で首を傾げた
「博雅を失った自分が可哀相なのだよ…。心変わりとて同じ事。結局鬼などというものは、自分勝手な思いから生じたものなのさ」
博雅は晴明がたまに冷めた事を言うのが辛かった
本当は誰よりも繊細で、暖かいのに
無理に自分を蔑んでいるような気さえする
博雅は上手く言葉がまとまらなかったが、それは違うと思った
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