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「俺は博雅の、そういうところが好きだ」
もう声は震えておらず、いつもの声の調子であった
そういうところ、と言われてもいまいち良く分からなかった博雅だが、晴明がまた笑ってくれて、泣いていないのなら、それで良いと思った
「博雅にこうして抱き締められるのは、好きだ…」
晴明は黙って博雅に寄り掛かった
「もう灯をつけても良いだろう?俺は晴明の顔が見たい…」
晴明は暫く黙って答えた
「もう少し、このままで良いだろう…」
少し妖艶に言葉をかければ、博雅も嫌とは言わず納得した
晴明は泣いて少し腫れてしまった顔を見られるのが嫌だったのだが
博雅はそんな事を知るよしもなく、抱き締めたまま時を過ごしたのだった
◆終◆
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