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博雅が捨てられた仔犬のような顔で宮中を歩いていると、珍しく陰陽寮へ出仕していた晴明が向こうからやってきた
博雅は途端に嬉しそうな顔をして晴明に声をかける
「晴明、宮中で会うなど珍しいな」
いつもならば博雅に答えて少し話でもする晴明だが、この時は違った
「博雅さま……」
驚いたような、困ったような顔をして、ただ軽く頭を下げて逃げるように去ってしまった
その様子を見て、博雅はさっきの何倍も悲しそうな顔になり、晴明の後ろ姿を見つめるしかなかった
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