105人が本棚に入れています
本棚に追加
「……ッ…俺の気も知らないで…」
違う
言いたいことはそんな事じゃない
そう思っても言葉は止まらない
「…ッ…俺と、あの男……どっちが大切なんだ…」
自分は何と愚かなのだろう、と晴明は思った
天皇と自分を比べる事など、心の優しい博雅には出来ない
そんな質問をすれば、博雅は酷く困るに決まっている
困らせたくなどないのに
全て分かった上で、やはり自分が大切だと、そう言って欲しいと思っていた
自分はなんて捻くれた奴なのだろう、そう思うと
さらに晴明は涙が止まらなくなった
博雅は泣きじゃくっている晴明をそっと、壊れ物でも扱うかのように抱き締めた
.
最初のコメントを投稿しよう!