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この家の二軒隣だった。外崎は車を飛び出すと、うなだれるように膝をついた。
「な…なんだこれは…俺の村が…」
「……」
ふと、外崎と目が合った。すると、外崎はハッとした顔でずかずかとこちらに歩いてくるやいなや、突然俺の胸ぐらを掴んだ。
「貴様…我々は第一戦線で命をかけて祖国の為に戦っているというのに、何故こんなところで油を売っている!!!」
「なんだと!?」
「外崎の坊ちゃん、やめな」
「い…今村のおばちゃん…」
突然、外崎は急に大人しくなり呟いた。
「!その人はねぇ、酷い怪我して倒れてたんだ!それの療養をしてたんだよ!」
「え…おばちゃんが?…クソっ」
突き飛ばすように外崎は俺を離した。
「あんた…ごめんよ…外崎の坊ちゃんはね、いっつもウチで遊んでくれてたんだ…賢治もよく面倒見てもらってたんだよ…」
「…おばちゃん、賢治は…?」
「お前、賢治が死んだこと知らないのか?」
俺はさも軽蔑するかのように吐き捨てた。
「賢治が…死んだ…?ば、馬鹿な…」
外崎は力なくうなだれた。
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