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入隊
外崎の車から外を眺めた
青空だ…
どこまでも続く青空
この空を見ていると、戦争のことなど忘れてしまいそうになる
だが、ふと下を見ると未だに爆撃により煙がくすぶり、大地は焼け焦げている
天国と地獄…そんな感じだろうか…
「イタリアが降伏したらしい」
「何?」
「貴様も…いや、今村も記憶はなくともイタリアくらいは知っているだろう」
「あぁ、まあな…三国同盟のことか?」
「そうだ…今では戦況もデマが多いが、どうも本当らしいな…」
「いつだ?」
「1943年だ…不利な情報はもみ消す、それがこの国だからな…俺も最近になって知ったんだ」
「かなり…マズい状況じゃないか?」
「…だろうな…ただでさえ国内は物資不足、それでも…アメリカの植民地だけはごめんだ」
「……」
「大本営では、ソ連との提携の意見も出ているらしい…噂だけどな」
「なぁ…そういうのってよくわからんが機密内容じゃないのか?」
「………いや、ここまで話せば、貴様も逃げるに逃げられんだろう?」
「……」
「着いたぞ」
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