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情愛
あれから、もう3ヶ月になる。今日本は戦争中だというが、この村だけは時が止まっているかのように何も起こらない。
「くぁ~!兄ちゃん相撲強すぎだよ」
「はは、賢治とお前の母ちゃんのおかげでずいぶん良くなったからな」
「賢治!兵隊さんに無理させんでねぇ!!」
「やべ、母ちゃんや!兄ちゃん帰ろ!!」
「お、おう(怖ぇ~)」
「兄ちゃん、まだ何も思い出せんの?」
「あぁ…思い出そうとすると頭が痛くなってな…」
「ふーん…」
だが、俺はこのままでいいと思っていた。このまま何も思い出さずに、おばさんの畑仕事を手伝いながらこの村で生きていこうと…それどころか、思い出したくないとも思っていたほどだった。
ゴホッ…ゴホッ…!
「ん……おば…ちゃん?」
「…!…起こしちゃったかい?ごめんよ…大丈夫だから…」
「………?」
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