情愛

1/3
前へ
/81ページ
次へ

情愛

    あれから、もう3ヶ月になる。今日本は戦争中だというが、この村だけは時が止まっているかのように何も起こらない。     「くぁ~!兄ちゃん相撲強すぎだよ」   「はは、賢治とお前の母ちゃんのおかげでずいぶん良くなったからな」       「賢治!兵隊さんに無理させんでねぇ!!」     「やべ、母ちゃんや!兄ちゃん帰ろ!!」   「お、おう(怖ぇ~)」         「兄ちゃん、まだ何も思い出せんの?」   「あぁ…思い出そうとすると頭が痛くなってな…」 「ふーん…」       だが、俺はこのままでいいと思っていた。このまま何も思い出さずに、おばさんの畑仕事を手伝いながらこの村で生きていこうと…それどころか、思い出したくないとも思っていたほどだった。             ゴホッ…ゴホッ…!           「ん……おば…ちゃん?」       「…!…起こしちゃったかい?ごめんよ…大丈夫だから…」             「………?」
/81ページ

最初のコメントを投稿しよう!

100人が本棚に入れています
本棚に追加