情愛

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    「ほら、ご飯ができたよ」   「わぁ、サツマイモに芋雑炊だぁ」     この飯もどこか素朴で好きである。     「すまないねぇ…毎回これじゃ飽きちまうだろ?なにぶん米と野菜は兵隊さんって決まっているから…こんなもんしかないんだわさ…」   「いえ、これはこれでヘルシーですから、好きですよ」   「……?」       その一言で、一瞬にして空気が固まったかのように、2人とも俺を見てきょとんとしている。     「…へ、ヘルシー…?」  「あんた…それアメリカ語かい?」     「え、…あ、いえ、忘れてください…」   …ヘルシー?どこからそんな言葉思い付いたんだ?…       「…俺…アメリカなんて大嫌いだよ。」     「あ…すまん、そんなつもりじゃ…」     「いいんだよ、…うちの父ちゃんはアメリカの爆撃でやられたから…」     ………     「でもわたしゃ言わせてみりゃ日本の大本営だって大嫌いさ…何かあったら敵空母撃沈だ、戦闘機何機撃墜だって、でも周りからは誰が亡くなったってことしか耳に入りゃしないんだ…」       大本営…    
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