くちづけ

2/16
647人が本棚に入れています
本棚に追加
/55ページ
桜の花びらがはらはらと舞い散る。 春である。 舞い散る花びらの中に少年がいる。 ワックスで立たせた黒髪に黒縁の眼鏡 健康的な肌の色。 桜をまっすぐ見つめる瞳は深く澄んでいる。 「桜の花って、綺麗だったんだぁ…」 少年は感動した様子で立ち止まり、桜を眺めている。 「やっと受験勉強が終わったから、3割増にきれいに見えるのかもしれないな…はぁぁ、長かったよ受験戦争…っ」 少年は肩を落として呟く。 「でも!今日から晴れて青嵐高校いちねんせいだ!みたか!中学の優等生どもめ!わはははは…」 高笑いしながら視線をふと移すと、 同じく黒髪の男が立っていた……… うわぁ…
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!