地下の感情

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 その日結局、祐樹は都のノートを借りることになった。  都としては構わないのだが、祐樹にとってはためにならない。こんなことなら昨日一緒に勉強すればよかった。そのほうが学校以外でも祐樹ともっと長く居れて、祐樹も勉強できて、一石二鳥だったのに。お弁当を食べながら思う。 「昨日一緒に勉強すれば良かったね」 「あー、確かに。そうすれば今日の予習できたな」 「祐樹、英語苦手だし?」  皮肉っぽく言うと、祐樹はすねたような顔をした。 「異国の言葉を習う意味が分からない」 「異国って」  祐樹の言葉に笑う。楽しい。  こういう毎日の他愛ない会話が好きだ。朝の電話のような緊張感はない。ただ、都の後ろに厄介な感情が潜んでいるだけで、そんなものは隠してしまえばいい。  この感情は決して伝えてはいけない。今のふたりを壊したくない。壊れた後が怖い。
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