地下の感情

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「そういえば、恭介は? 休み?」  恭介は都たちとクラスは違うが、祐樹の中学からの友達で、いつも一緒に弁当を広げている。さっぱりしていて付き合いやすい、いいヤツなのだ。 「いいや、先生からお呼びだし」 「……何したんだ」 「数学、赤点だったらしい」  先週都たちが受けた4.5考査という中間考査は、赤点を取った者には再テストこそ受けないが、課題が出される。  気の毒なことに、数学は結構な量の課題が出されると聞いたことがあった。都は箸をもったまま両手を合わせて御愁傷様です、とつぶやいた。 「てか、祐樹は英語大丈夫なの? 今日返ってきたよね」  祐樹がフン、と自慢気に笑った。 「44点、バッチリだろ」 「どこが」 「ぎりぎり落とさないあたり」 「はいはい」  全く自慢できるところでもないのだが、祐樹は大抵、英語を40点代でキープしている。それはそれで確かにすごい。たまに失敗して落としているが。  勉強ができないわけではない。他の教科は70点はとる。英語が苦手なだけらしい。  都はといえば勉強は嫌いではないし、良い点が取れるのは楽しいので、成績は学年順位30位以内くらいだ。
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