プロローグ

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 中学一年の春、隣の席に祐樹がいた。それが出会いで、特別なことは何もなかった。  互いに名前を言って、よろしくと笑う。それからどの小学校から来たのか聞き合って、そんな感じだ。それからなんとなく気があって、今まで仲良くしてきた。  だから、いつから友情が恋に変わったかなんて、都には分からなかった。どちらかといえば可愛い都が、かっこいい祐樹の容姿を羨むことはあったが、いったいどうして付き合いたいと思うようになったのか。羨むことがなくなったのはいつだろう。  今はただ、いつもドキドキしてる。いつこの気持ちがばれるのか不安だったり、いっそ早くばれてしまって、あわよくば付き合いたいというわずかな期待がごちゃ混ぜになって、鼓動ははずむ、そんな毎日。  小鳥のさえずりが聞こえる。今日もまた朝がきた。
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