日常

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日常

 教室のドアを開けて、近くにいたひとがおはようと声をかけてくるのに返していると、後ろから軽く頭をはたかれた。 「おはよ」 「祐樹、おはよう」  都より背の高い祐樹を見るには顔をあげなければいけない。  祐樹はドアに手を掛けてほほえんでいて、それは自然なしぐさなのだろうけど、祐樹がやるとかっこよくみえてしまう。  都の席は窓側の一番後ろ、その前は祐樹だ。本来、祐樹の席はもっと前のドア側だったのが、「おれこんな後ろみえねーし」とそのひとが嘆いていたのをいいことに代わってもらったのだ。  カバンから道具を取り出して机につめる。それが終わってから、窓にもたれ掛かりながらこっちを見ていた祐樹の隣にで、同じように窓に肩を預けた。 「お前髪の色素薄いよな、光があたると茶色っぽい」 「あー、そうかも」  都は自分の髪を手に取った。祐樹のと比べて、確かに茶色っぽくて、細い。  祐樹は今こそ部活に入っていないが、中学時代はサッカー部。筋肉は無駄がない程度についていて身長もけっこう高い。先が少しだけ跳ねている黒髪と相まって、それもまたかっこいい。都以外の男から見ても、たぶんかっこいい。
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