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じっと祐樹を見ていたら、顔に何かついているかと聞かれ、ううんと首をふった。
「祐樹って、か…」
「か?」
「な、なんでもない」
かっこいい。
その一言がひどく言いづらかった。前は普通に言えたのに。変に意識しすぎだとは分かっていても、気付いてしまった自分の感情への対処法がいまいち分からない、見つからない。
女子に対する恋愛感情なら、ある意味では簡単だろう。男女間でももちろん色々あるだろうし、告白だってかなり勇気のいることだとは理解している。だけど、同性には告白がどうこうの前に“同性”という最大の課題があって、それをなんとか乗り切る策を見付けなければ、対処法なんて見つかるはずもなかった。
「好きです」と伝えるためには同性という壁を乗り越えなければいけない。それは都にとってあまりに厚く、高く見えた。
「そうだ都。放課後ひま?」
「ひまだけど、どうかした」
「DVD、一緒に見ないか」
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