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ほとんど道具がない自室に入ると、都がテレビを見るにはベストポイントのベッドに腰掛けた。俺もDVDをセットしてリモコンを手にとると、その隣に腰を下ろした。
「あ」
そういえば。
受け取ったジュースを口に運ぼうとしていた手を止めて、都がきょとんとこちらを見る。
「なに?」
「そういやこの映画ホラーだけど、平気か」
横から動きがなくなった。それから悩んでいるのか、俯いてうなっている。
見るか見ないか苦悩して眉間にしわを寄せている都はおもしろいが、このままもとの顔に戻らなくなってしまってもあれだから俺は「やめる?」と都の顔を覗き込んだ。
都は怖いのが苦手だ。小学校の時、おばけ屋敷に入って泣いていた。
「や、大丈夫、だと思う」
笑顔が引きつっている。
「無理なら別に」
いい、という前に都が声を重ねてきた。
「だーいじょぶだって。高校生の、しかも男がホラー怖いなんて嫌じゃん、なんか」
「でも怖いんだろ」
「うー…怖いけど、大丈夫だって」
ほら早く再生して!
都が俺の手からリモコンを奪って再生ボタンを押した。
大丈夫なのか、こいつ。
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