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「みやこ」
「何」
あまりに恐すぎて画面から意識が離せないないようで、声だけは俺に向けられたが、感情なんて入れられたものじゃない。
「なんでもねぇ」
人間というのは根本ではひどく欲望に忠実で、今の俺は欲望に踊らされている。今すぐに抱き締めたいだとか、その唇に触れたいだとか、色々な感情が駆け巡る。映画なんてもう知ったことじゃない、そっちはそっちで勝手にやればいい。
俺はいま欲望の抑制に必死なんだから。
「わっ」
女優の驚愕にあわせて都が跳ねた。
いっそこのまま忠実になればラクなのだろうが、それではいけないから理性があるのだろう。だから俺は最後まで我慢しよう。
何より、俺は恐かった。俺が欲望にしたがったときに、都の顔が恐怖に歪むのが。
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