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自分を助けようとしてくれた警備員を助けたいという気持ちはあった。
しかし、全ての生き物が持つ生存本能が、それを邪魔する。
銃が全く効かない相手に、丸腰で向かって行く事は死を意味していた。
(ちくしょう……、駄目だ、怖くて、助けるなんて無理だ……、ちくしょう……)
ブレイクは、生まれて初めて己の無力さに嘆いていた。
相手が人間だったら自分は負けるはずはないと、心の底から信じている程に陶酔してはいるが、所詮は井の中の蛙。
真の強者を目の前にしては、どうする事も出来なかった。
(ごめん……、やっぱりできない……)
大粒の涙を流し、ドクロの怪物から目を反らし、再び四つん這いで逃げ出そうとした。
『誰かぁあああああ!!
助けて下さい!!
ホーンに襲われてます!!』
ブレイクは、這いつくばり逃げながら大声で助けを求めた。
それくらいしか警備員を助ける事が出来なかった。
「クックック……」
助けを求めるブレイクを横目に、ドクロの怪物は一切の慈悲をかけずに言い放った。
「助けを求めてどうなる?人間が何人集まろうと、我を倒せるわけがないのだ。
己の無力さを知れ」
その言葉を受けて、ブレイクは悔しくて、怒りが込み上げてきたが、それでも逃げるのをやめようとはしなかった。
(ちくしょう!!ちくしょう!!ちくしょう!!ちくしょう!!
助けたいのに、なんで逃げる!?
全くだ、なんて俺は無力なんだ……!!)
歯を思いっきり噛みしめながら、ブレイクは悔し涙を流していた。
出来るなら、あの怪物を倒したい。
でも、どう足掻いたって勝てる見込みはない。
助けたい気持ちと助かりたい気持ちの間で葛藤していた。
(お願いだ!誰か助けてくれ!)
「クックック、さぁ人間喜べ、我の食料となれる事を」
「嫌だぁあああああ!!
死にたくない!!
ウワァアアアアア!!」
(うぅ……、すまない)
ブレイクは諦めた、警備員の命を。
「焼けろ!!」
ドクロの怪物が今にも警備員に向けて掌の光を放出しようとした、その時だった。
“ドォオオオオン!!”
轟音と共に先程ドクロの怪物が落下した地点に、またもや何かが落ちて来た。
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