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「っつ痛……、何処だ?
ここ?」
落ちて来た人物が、辺りをキョロキョロと見回しながら、声を発した。
「……人間め、わざわざ追ってきたのか……」
ドクロの怪物は警備員に光の塊を放出せずに、落ちて来た人物を冷静に見つめていた。
声の主は白い薄手のジャケットに身を包み、腰からは長剣が下げられ、全身がぐっしょり濡れており、髪の毛は水分を大量に吸い込んだせいで、頭に巻いた白いバンダナの上で萎れていた。
ブレイクと宙ぶらりんになっている若い警備員も同じように、突如現れた人物を凝視していた。
「あっ……、あぁ……」
ブレイクは落ちて来た人物の正体を確認し、声にならない声を発した。
「イサ……?
勇者イサ!?」
「勇者イサッ!?」
ブレイクのその言葉を聞き、若い警備員は信じられない風に、そう漏らした。
「あれ?
なんで俺の名前知ってんだ?
ここって未来だよな?」
その声に気がつき、イサは声のする方向を見つめた。
「なッ!!」
イサは驚愕した。
ドクロの怪物が若い警備員を、今にも掌の光で殺そうとしている場面を目の当たりにしたからだ。
「ジェダッ!!
やめろッ!!
関係ない人を殺すなぁッ!!」
イサはドクロの怪物に向けて、怒号を響かせた。
「ジェダ?
クックック、あぁ、主の名前だったなぁ。
主は今我の中で熟睡しておる」
「なんだって!?」
イサは、ドクロの怪物と会話をしている最中に、警備員の下半身のみの死体を発見してしまった。
「お、お前……、デヒアトって奴か……。
クソッ!!
ジェダを元に戻せッ!!」
「クックック、それは出来ない相談だなぁ人間」
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